名古屋|音楽を仕事にする方法について|ライブハウスが増えるとスタッフが貧乏になって忙しくなる
名古屋市内にあるライブハウスを羅列したサイトがありました。
たくさんありますね〜
少し前のデータのようで、僕の記憶にある限りでもこれより増えています。
さらにキャパや立地に注目すると、だいたい100〜200前後で尚且つ新栄付近に固まっている気がします。
でもこれってスタッフの労働生産性下げるんじゃないかなぁと思ったりします。
今日はそんなお話をします。
価格競争が開始される
人口10万人の街があったとします。
そこにはライブハウスは1つしかありません。(ライブハウスAとします)
仮に100人に1人の割合で毎月ライブハウスへ通ったとしましょう。
すると、毎月1000人のお客さんがライブハウスAへ足を運ぶことになります。
フル稼働したとしても毎日33人のお客さんが来る計算になります。
まぁ経営する上では問題ないでしょう。
そして、その街には1000人に1人の割合でバンドを組んでいます。
すると、合計100バンドが街に存在することになります。
全バンド毎月1回ライブ活動を行なった場合、ライブハウスAは毎日およそ3バンドのブッキングで回せることになるでしょう。
しかも、ライブをするにはライブハウスAしかないため、ほっといても毎日平均3バンドのブッキングできることになります。
ブッキングマネージャーは新しくバンドをしてくれるバンドマンを探す手間が省けて、いつもライブしてくれるバンドマンの広告宣伝・SNSやWebを通じた集客に協力できるわけです。
するとある日、儲かっている噂を聞きつけたお金持ちの経営者が、ライブハウスBをライブハウスAの徒歩圏内にたてました。
キャパシティもほぼ同じです。
(ジャンル分けについては一旦置いておきます)
ここで大きな問題が生じます。
ライブハウスが1つから2つになっても、ライブに行く人の総数は変わりません。所得も変わらないので毎月いける回数も増えません。もちろんバンドの数も変わりません。
仮にライブハウスが増えた影響で近所に多少増えたとしても、どう考えても倍にはなりません。
ここから恐怖の価格競争が開始されるのです。。。
給料が減るのに忙しくなる
さて、ライブハウスが2つになってしまったので価格競争がはじまります。
仮に同じ人数ずつ集客できた場合、毎日稼働で平均16.6人の集客になってしまいます。
ライブハウスAはギリ稼働できるとは思いますが、ライブハウスBができる前と比較するとかなりキツイ状況でしょう。
なにせ半分になったわけですから。
するとある日、想定より儲からないことに気づいたライブハウスBが、顧客確保のためイベントの際のホールレンタル料を10万円から8万円に値下げしました。
ノルマ枚数も10枚から8枚にちゃっかり下げちゃいます。
元々お金に困っているバンドマンたちは、こぞってイベントの箱をライブハウスBに移します。
お金がないバンドマンからすると、1回のイベント代が2万円も下がるのは非常に助かるため当然でしょう。
ノルマ枚数も下がったおかげでお客さん呼ぶ人数も少なくて済むので、色々と助かっちゃいます。
結果、ライブハウスAはますますバンドマンが集まらない状況になりました。
このままでは潰れてしまいます。
危機感を感じたライブハウスAは、ホールレンタル料を7万円に大幅値下げを開始いました。
ノルマチケット枚数も7枚に下げます。
すると今度はライブハウスBでイベントを行う人が激減しました。
ホールレンタル料・チケットノルマ値下げのイタチごっこはしばらく続き、結局ホールレンタル5万円・チケットノルマ5枚に落ち着きました。
人件費を削るオーナー
ホールレンタルが5万円になりましたが、10万円の頃と比べてバンドマンの数・お客さんの人数は変わりません。
なぜなら、ライブハウスBも同じ値段にしているので、ホールレンタル10万円の時と比較しても元々存在した1000人のお客さん・100組のバンドを取り合う状況に変化がないためです。
すると、両ライブハウスのオーナーの利益が減ってしまう(下手したら赤字)ため、人件費の削減が始まります。
今まで日給¥10,000で働いてもらっていましたが、日給を¥8,000に減らしました。
1日に3人のスタッフでお店を経営していた場合
¥2,000 × 3人=¥6,000
の人件費削減になるため、オーナーとしてはかなり助かります。
しかし、ライブハウスのスタッフとしては、同じ内容にも関わらず減給されたことに不満しか生まれません。
そのことをオーナーに相談したら『じゃあ現状を打破するために、新しくライブしてくれるバンドを探すんだ!』と命じられました。
ライブハウスAは元々ほっといても毎日平均3バンドブッキングできていたので、わざわざ新しくライブをしてくれるバンドマンを探す必要がありませんでした。
ライブハウスBができる前の状況から比較すると、減給された挙句新しくライブハウスを利用してくれる顧客(バンドマン)確保する仕事が増えてしまったわけです。
結果、給料が減ったのに忙しくなりました。
バンドマンの広告宣伝・集客面の手伝いができなくなる
バンド活動は会社経営と似ている説〜ライブハウスとの関係〜でも記載しましたが
ライブハウス側もバンドマンの広告宣伝・集客面を手伝った方が本来両者が得をして、関係が上手くいくと思います。
バンドマンはお客さんが増えて活動しやすくなりますし、ライブハウスも売り上げが伸びるからです。
しかし、バンドマンの新規開拓・営業をせざるを得なくなったライブハウスAのスタッフは、そこまで手が回らなくなってしまいました。
隣街まで営業にまわり、さほど知識もないアイドルイベントも組むことになりました。
とにかく稼働日数を増やすのに必死です。
すると、バンドマンはライブに出演する際、今まで以上に広告宣伝・集客に時間を注ぐことになりました。
なぜならライブハウスの方に手伝ってもらえなくなったため、自分たちで主に集客していかなければなりません。
コンビニ・牛丼業界と同じ結果
ほぼ同じキャパシティのライブハウスが多くなることで、こんな感じのスパイラルが発生しているんじゃないかなぁなんて個人的には思います。
もちろん、箱によってジャンルや雰囲気・スタッフの人柄もあるため、一概には言えませんが
町中に溢れるコンビニ・牛丼屋などのチェーンと同じような末路を辿っているように見えてしまいます。
谷口 峻路