名古屋|音楽を仕事にする方法について|バンド活動は会社経営と似てる説〜ライブハウスとの関係〜
バンド活動は会社経営に似てる説〜活動維持費・投資編〜に引き続き今回はライブハウスとの関係性を論じていきたいと思います。
僕の感覚ではバンドを会社とするならば、ライブハウスは一緒にイベントを作る仕事仲間である気がします。
バンド側が集客できれば、ライブハウスは経営的に潤うし、そのためにライブハウス側もバンドの広告宣伝・集客に一役買っても良い気がします。
しかし客観的に見ていてその関係性は崩れ倒しています。
仕事仲間ではなく先輩後輩関係になっている
もうライブハウスにお世話にならなくなってから3年半くらい経っているので、記憶の限りですが
よくあるライブハウス(基本キャパ100人前後の小箱)のスタンスとして
① 若手バンドマンが彼らができる限りで集客し、ライブを演奏する
② ライブハウス側の人間が演奏面・集客面のダメ出しをする
③ 改善するまでの期間として明らかに短いのに1〜2か月後のライブの話を提案される
多分こんな感じ。
これ仕事仲間として考えた場合めちゃくちゃ違和感を感じます。
『演奏面・集客面のダメ出し』とはサービス向上・集客などについての営業目標になりうると思うのですが(サービスは演奏を指します)
それであれば仕事仲間として、改善されるであろう時期まで待ってからもう一度イベントを作るべきです。
そうしないと、ほとんど同じことの繰り返しになるため、お互いのためになりません(ライブハウス側はノルマ分のお金は最低限入りますが)
バンドマンからするとお金と時間を損失します。
『集客微妙ですね〜でも来月のイベントまでに営業利益2倍にしてください、じゃあまたよろしく〜』って感じでほぼ達成できない目標を投げつけられている状況に見えてしまいます。
お互いを忙しくし合っている
さて、ダメ出しをした翌月にイベントを組んだ場合どうなるでしょうか?
サービス向上(演奏力)は個々の練習ありきなので、多少は改善される可能性はあります。
しかし、集客面は基本的に努力量には比例しないので、1ヶ月後に改善されている可能性は皆無でしょう。
するとまた大して集客できない赤字ライブを打つことになります。
集客されないので、ライブハウス側も潤いません。
ここで気づいてしまったことが1つあります。
これループしている限り、バンド側もライブハウス側もお互い忙しくなりません??
ライブハウス側について
本来ライブハウスはバンドの集客面のマネジメントを手伝ったほうが良い気がします。
お客さんが増えた場合、1回出演してもらうごとのライブハウスの売り上げが上がるからです。
2つの例を上げて考えてみましょう。
ノルマ分超えた後からハーフバック制にした場合、仮にチケット代¥1,500であればノルマ達成以降
(¥1,500 ÷ 2)+ ドリンク代¥500 = ¥1,250がライブハウスに入る計算になります。
ノルマ人数が10人であれば、ライブハウスとしても11人以上集客してくれる方が当然得なわけです。
すると、仮に20人集客できるバンドを3バンドブッキングしてイベントを組んだとしましょう。
まず各バンドのノルマ¥15,000 × 3 = ¥45,000
ハーフバック10人分が3バンドで(¥750 × 10)× 3 = ¥22,500
60人のお客さんのドリンク代が ¥500 × 60 = ¥30,000
¥45,000 + ¥22,500 + ¥30,000 = ¥97,500
¥97,500の売り上げが見込めることがわかりました。
では、集客ができないバンドを頑張って5バンドブッキングした状況を想定してみましょう。
5人しか呼べない5バンドの場合、まず各バンドのノルマ代で¥15,000×5=¥75,000
ノルマを超えていないので、ライブハウス側にハーフバックは一切ありません。
あとは、25人のお客さんのドリンク代¥500×25=¥12,500
すると合計¥75,000+¥12,500=¥87,500になります。
頑張って2バンドも多くブッキングしたにも関わらず、売り上げが1万円も下がってしまいました。
つまり、ライブハウス側としてもバンドがお客さんを呼べるようになってからイベントを組んだ方が特な訳です。
一見集客できない状態のバンドでも、ガンガン毎月ライブしてもらった方がノルマ分売り上げが得れるので、ライブハウスとしては得なようにみえますが
バンド側が資金不足になりイベントに参加できなくなったら、また新しいバンドを探すコストが発生します。これって無駄な労働ではないでしょうか?
バンド側について
バンド側も当然ながら集客を見込めないライブを乱発しても、基本的には損しかありません。
よくある理由として『経験が積めるから』がありますが、そこまでの費用をかけるに値する経験か否かは考えた方が良い気がします。
最近では大きな音楽スタジオであればイベントスペースもあるので、気の合う仲間とライブイベントを安く行うことは可能です。
また、集客を目指してライブハウスで演奏するパターンもありますが、今だにこの方法を取っているのであれば方法を改めた方が良さそうです。
ライブ始めたてのバンドマンがライブする小箱の場合、ライブハウスで見てもらえるお客さんの人数はせいぜい多くて50人前後です。(キャパMAXでも100人くらい)
1回のコンテンツ発信において50人しか見てもらえないというのは、動画配信サービスが充実する今日のネットワーク環境を考慮すると、コスパ悪すぎです。
さらに、ライブハウスで出会ったお客さんは基本的に既に他のバンドが好きなお客さんです。
もしそのお客さんが自分のバンドを好きになってくれたとしても、その人のお財布事情は変わりません。つまり、月に足を運べるライブの本数は決まっています。
すると、元々好きなバンドのライブ本数を減らさせて、自分のライブに足を運んでもらわないといけません。ハードル高すぎです。
ということで、集客面でも予算の面でも赤字のライブを乱発するのは避けた方が良さそうです。
そんなわけで今回はライブハウスとの関係を仕事目線で綴ってみました。
演奏力向上は個々の練習に期待できますが、集客方法については向上してもらえる期待があまりできません。
一緒にイベントを作る人として、集客面でのマネジメントをしてあげた方が良い気がする今日この頃です。
谷口 峻路