名古屋|音楽を仕事にする方法について|ピアニストがレコーディングでピアノを弾かない時代の仕事の取り方
音楽の仕事でも在宅で可能なのが作詞・作曲以外だと自宅レコーディングかなぁと思います。
友人で仮歌の宅録を仕事にしたり、ギターパートのレコーディングを宅録で済ませたりなど、周りにもチラホラいます。
移動しないため交通費もスタジオ代もかからないから、音楽の仕事の中でもわりかし利益率高い分野かなとか思ったり
何人か自宅でレコーディングしたことのある方にお話聞いたことがあるのですが、
真剣にレコーディングの仕事を増やしたいのであれば、実はもう楽器の技術磨くよりもDTMやらネットでの仕事の取り方頑張った方が良い気はしてます。
今回はそんなお話をしていきます。
自宅レコーディングの仕事をするなら1つの楽器頑張るより満遍なく学んだ方が良い
まず大前提として、1人で全て完結できる状態が理想です。
理由は単純に人件費もかかるし、スタジオ代とかもかけてられないからです。
僕のメインの楽器はドラムですが、ネットでもらうレコーディングの仕事の場合、今の時代正直よほど生演奏に実力のある人が揃わない限り、打ち込みにした方が良いと思います。
例として企業のイメージソングだったり、CMで使う15秒くらいのショートソング・サウンドロゴ制作がありますが、そもそもクライアント側がグルーヴ感とか気にしてないからです。
端的に言うと、仕事を提供する側が求めるものと違うスキルを伸ばしたところで、仕事の増加や収入の単価上昇は見込めません。
これは、特に音楽の仕事に限った話でもないです。
少々残酷な話ではありますが、世の中のお金の流れとして然るべきあり方ですね。
余談ですが僕のドラムレッスン教室に、某先輩バンドのギターボーカルの方が一年ほど習っていた時期があるのですが、
理由は打ち込みで扱うドラムの演奏パターンを勉強したかったからでした。
もちろん実際に演奏できなくても学ぶことは可能ですが、叩けた方が記憶に定着しますし、仕組みも理解できるので結構効率よく学んでくださったなぁなんて思ったりしてます。
人数多いとマネジメントも請求も面倒
これはアンケートをとったわけではないので想像に過ぎませんが、
仕事を依頼する側からするとパート別に仕事を依頼するのはコスト以外に面倒なことが多いと思います。
まず、パート別に依頼すると必ずマネジメントコストが発生します。
全員とおおよその曲のイメージを統一したり、請求書を個々に出したり(全パート揃ってるバックバンドや事務所へ依頼する場合は別ですが)わりと面倒くさい
制作コスト以外にも様々な観点から個人の方が重宝される気がします。
ピアニストもピアノは弾かない
某ピアニストで宅録を仕事にしている方から聞いた話ですが
自分の楽器すら打ち込みで納品するらしいです。
理由を尋ねてみると『ニューヨークの高級なスタジオで高級なピアノを使って録った音がソフトに入っているから、それを使った方が良い』とのことでした。納得。
そして、よく挙げられる話で『ギターは生で録った方が良い』件ですが
それ自体は否定しません。しかし、生演奏感を出す方法はたくさんあります。
例えば打ち込んだギターの音を、アンプから再生させてマイキングして再レコーディングするなど
空気感だったり響きだったりを生演奏に近づける方法はたくさんあるわけです。
『いや、そんなの全然クオリティ低いじゃん』ってギタリストは思うかもしれませんが
仕事を依頼する側がそれで問題なければ成立してしまいます。
結局出来上がった音源に対して違和感を感じる人がどれだけいるのかで、どのラインのクオリティにするべきか決まってくるのです。
これは主観ではなく客観的聴覚を働かせないといけない部分だと思います。
そしてその方法で実際仕事が成り立ってしまっている事実がある以上
複数の楽器の知識があり、DTMを操れる人が宅録の仕事を取っていくことが容易に想像できますね。
自宅レコーディングは時給のレバレッジが効く
ここからは少々余談になりますが、基本著作権系・作品系の仕事は時給を考えた場合レバレッジ(テコの原理)が効きます。
宅録の場合、依頼人が求めるクオリティの作品・即ち完成された音源を指します。
例えば一曲の作品に¥50,000の案件があったとしましょう。
この作品に50時間かかってしまったら
¥50,000 ÷50 = ¥1,000
つまり、時給¥1,000です。
まぁ悪くはないかもしれませんが、ここで重要なのは作品を作り続けることによって、スキルアップ・効率化が進み、時給がそれに応じて増えるということです。
例えば、同じような内容の仕事に慣れてきて25時間で納品できるようになったとしましょう。
その場合当然ながら、¥50,000 ÷ 25 = ¥2,000
一気に時給が倍になりました。
『ふ〜〜ん、当たり前じゃん』くらいに思っている人は、できれば1つ気づいて欲しい点があります。
世の中色々な仕事がありますが、時給が効率の良し悪しで比例する仕事はあまりありません。
音楽の仕事においても、演奏業に関しては残念ながら同じ職場で時給を倍にするのはほぼ不可能です。
なぜなら演奏者の効率が上がり、時給単価を上げることを要求されても、オーナーとしては必要とする演奏力を満たされて安い賃金で演奏してくれる別のミュージシャンに依頼する方が特になるからです。
宅録は『効率により時給が比例して上がる』という演奏業にはない利点があるのです。
以上、自宅レコーディングの是非についてでした。
音楽を仕事にしたい方の参考になっていただければ幸いです。
谷口 峻路