障がい者雇用70%以上の日本理化学工業~働く理由について~
今年4月から障がい者の法定雇用率が引き上げられ、障がい者雇用の水増し3460人がニュースになる昨今ですが、今回は障がい者雇用が70%を超える日本理化学工業について記事にしてみました。
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日本理化学工業とは
大山泰弘さんが1937年に設立されたチョークをはじめとする文房具・事務用品の製造販売をする会社です。
最近ではツルツルしたところにも書ける『キットパス』も生産しているみたいです。
仕事終わりにお子さんからのメッセージが書かれたビールを飲むのはおいしそうですね!
民間企業の場合法定雇用率が2.2%なので、70%以上の日本理化学工業は約32倍雇用していることになります。そして主力製品のほぼ全てを知的障がい者たちが作っているようです。
障がい者の方が働きやすい環境とは?
障がいを持つ方々は文字や数字を読むのが苦手な人が多いです。
放課後等デイサービスの療育訓練を行う時に僕もよく直面します。
大山泰弘さんは、毎日出社するときに信号機は理解して横断歩道を渡る障がい者の姿からヒントを得て職場環境の改善を図ったそうです。
信号機を理解している=色の理解ですね。
まず、重さを量る作業に色を導入
今までは『150グラムにする』『200グラムにする』という数字での確認作業を、『赤色のバケツは赤色のおもり』『青色のバケツは青色のおもり』といった具合に、色でわかるようにしたそうです。
確かにこれならわかりやすそうですね!
さらに数を数えられない社員の作業には、数字カードを導入し、一工程終わるたびにカードをめくらせ回数を間違えないように改善し、一定の時間が経過したらボタンを押す作業は砂時計を導入して、障がいのある社員にもわかりやすくなるよう工夫したそうです。
『彼らができないんじゃない 私たちの工夫が足りなかったんだ』
良い言葉ですね。
当事者にとっての本当の幸せなのか疑問に思ったことも
とはいうものの、障がい者が働きやすい環境が整うまでは幾多の困難に直面していたそうです。
いつも数を間違えたり、綺麗にラベルを貼れないことが原因で怒られている障がい者を見て大山さんは『当事者にとってこれが本当の幸せなのだろうか?なぜここまで一生懸命働こうとするのか?』と疑問に思ったり、障がい者を働かせていることに罪悪感を感じることもあったそうです。
ある日、住職とお話する機会があり、こんな疑問を投げかけてみました。
実は僕が以前から思っていた疑問でもあります。働くことが困難な方は無理して働かなくとも、施設など自分の居場所を見つけて幸せになる方法はあるのでは?という疑問がありました。
住職の返答は
『人間の究極の幸せとは以下の4つです
・人に愛されること
・人に褒められること
・人の役に立つこと
・人から必要とされること 』
『障がい者の方たちが施設で保護されるのではなく、企業で働きたいという願いは、社会で必要とされて本当の幸せを求める人間の証なのです』
働く理由について
住職の言葉は僕にとっても『働く理由』についての考え方が大きく変わる言葉でした。
皆さんは『働く理由』についてどうお考えですか?
色々な調査結果がありますが、ほとんどが『お金のため=生活のため』という結果になっています。
放課後等デイサービスで発達障がいを持つ子どもと接していると、この子達にとって幸せになれる仕事は何か?作業所で仕事することになってもこの子達にとっての幸せに繋がるのか?ということをいつもグルグル考えています。
しかし、『人から必要とされること』に着目すると、当事者にとって働くことは一つの幸福を生む可能性があるのだと考え方を改めました。
もちろん日本理化学工業の例は、比較的まれな事例であると思います。
ネットで検索すれば、作業所で働くことの辛さを綴った記事を目にするのも事実です。
僕は指導員・リトミック講師に過ぎないので、ご家族であったり当事者の事情を全て把握することまではできませんが、この記事を読んでいただいて、新しい考え方を持ってもらえると幸いです。
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ブログ『だいばーしてぃー』